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一竺庵
「 ゆずり葉の木 5 」
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HN:
シロタイチジク
製造年月日:
1982/11/25

□一竺庵にようこそ。シロタイチジクと申します。
□デザイナーのひよこ的なことをしたり、学生をしたりしています。そしてその合間にちまちまとものを作ったります。そこそこ貪欲に生きていくのが目標です。どうぞよろしく。
□作品のせていきますし、色んな好きなもののこともつらつら書いてゆきます。
□コメントTB大歓迎です。
□シロタ作品に関しては画像お持ち帰り自由ですよ。どうぞどうぞ。携帯でも見れますので、待受などに、ぜひ。
□お持ちになる場合には何かひとこと頂けるとうれしがります。
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[ ゆずり葉の木 1] はこちら
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[ ゆずり葉の木 3] はこちら
[ ゆずり葉の木 4] はこちら


四つめが死んでから一週間と二日たった日の早朝、私は孵化しました。
二人のきょうだい達もその日の午前のうちに無事孵化を迎えました。
それから二日たって目が開いて、私たちきょうだいは、孵化することのできなかった四つめと五つめの卵を見ました。
小さな石のような卵は、ひんやりとして、しかしくすんだ色をしていました。
四つめの殻に刻まれたひびは信じられないほど細いものでしたが、その隙間からはただ静かな死の闇のようなものがもれ出ているのでした。
私たちきょうだいは四つめと五つめのために、毎日毎日さえずり続けることに決めました。

一方で子は相変わらず毎日ゆずり葉の木の下へ通いつづけていました。
そしてそれは私たちきょうだいが揃って巣立ちをする日まで一日も欠かすことなく続きました。



それから一年たって、私も立派に一人前のヒヨドリとなり、そして初産を控えています。
そして今日、つい懐かしく古巣を訪ねに舞い戻ってきました。
巣は風雨にさらされ傾き、知らぬ虫が棲みついていました。

私はさえずります。
生まれて来れなかった四つめと五つめのために。
若葉の隙間から青空を見上げ、高らかに歌います。

ふと、下から見上げる者がおりました。
目が合いました。
それは、木登りの得意だったあの人の子でした。
子は見上げ、古巣でさえずる私を認めると、笑みを浮かべました。
それは、この五月の空のように、心の底から晴れやかな笑顔でした。



<了>
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