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一竺庵
「 ゆずり葉の木 3 」
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HN:
シロタイチジク
製造年月日:
1982/11/25

□一竺庵にようこそ。シロタイチジクと申します。
□デザイナーのひよこ的なことをしたり、学生をしたりしています。そしてその合間にちまちまとものを作ったります。そこそこ貪欲に生きていくのが目標です。どうぞよろしく。
□作品のせていきますし、色んな好きなもののこともつらつら書いてゆきます。
□コメントTB大歓迎です。
□シロタ作品に関しては画像お持ち帰り自由ですよ。どうぞどうぞ。携帯でも見れますので、待受などに、ぜひ。
□お持ちになる場合には何かひとこと頂けるとうれしがります。
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[ ゆずり葉の木 1] はこちら
[ ゆずり葉の木 2] はこちら

[ ゆずり葉の木 4] はこちら
[ ゆずり葉の木 5] はこちら


こうして子は目標を達成することができ、私たちきょうだいは恐怖を一つ克服することができたのでした。
それからというもの子は毎日のように私たちの巣のところまで登ってきては、私たちの殻をかわるがわるなでてくれるのが日課となりました。

ある日のこと、子は一人ではなく、年少の子らを連れてゆずり葉の木のところにやってきました。
ゆずり葉の木の下では年少の子らが輪になって見守る中、子はいつものように身軽に私たちの巣の、二つ下の枝までやってきました。
下のほうからわあっと一斉に歓声があがりました。

子は巣のほうへ向き直ると、いつものように手を伸ばしました。
しかしいつもと違ったのは、私の隣の卵、四つめの卵をつかんで、そろそろと持ちあげたのです。
四つめが短く悲鳴をあげました。
私たちきょうだいの間に緊張が走りました。
しかし子は四つめを手のひらに包み、そしてそのままポケットに入れ、慎重に慎重にゆずり葉の木を降りはじめました。

子が地面におりるとほかの子らからはふたたび歓声がわきおこりました。
子はポケットから四つめを取り出し、両手のひらの上で披露しました。

「ちいさいね」
「きれいだね」
「いつうまれるのかね」
「ぜんぶでいくつあったの」
「すごいねえ」
「すごいねえ」

子らは四つめをかわるがわるそっとなでながら、そんなことを口ぐちに言い合っておりました。
そして年長の子の偉業をたたえました。

しばらくして、年長の子が、そろそろ巣に返してあげなくちゃ、と言ってふたたび四つめをポケットにしまい、ゆずり葉の木を登りはじめました。

私たちきょうだいは四つめが無事に戻ってきそうなことがわかり、ひとまずほっと胸を撫でおろしました。
登り慣れた枝々ですが、それでも使者としての責任を感じているのか、たいそう動きに気を使っているようでした。
そしていつもより少し時間をかけて私たちの巣の二つ下の枝のところまでやってきました。
そして両足で枝にしっかりと立つと、ポケットから四つめをそうっと取り出しました。四つめの無事を確認すると、
子はやや緊張が解けたように少し微笑みました。
そして巣のほうへ手を伸ばしました。

と、その時でした。
かつん。
という妙な音がしたのは。
子の動きが止まりました。
私たちきょうだいもはっとしました。
それは、巣を支える枝の一つに、四つめの殻がぶつかった音でした。



<4へつづく>
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