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シロタイチジク
製造年月日:
1982/11/25
□一竺庵にようこそ。シロタイチジクと申します。
□デザイナーのひよこ的なことをしたり、学生をしたりしています。そしてその合間にちまちまとものを作ったります。そこそこ貪欲に生きていくのが目標です。どうぞよろしく。
□作品のせていきますし、色んな好きなもののこともつらつら書いてゆきます。
□コメントTB大歓迎です。
□シロタ作品に関しては画像お持ち帰り自由ですよ。どうぞどうぞ。携帯でも見れますので、待受などに、ぜひ。
□お持ちになる場合には何かひとこと頂けるとうれしがります。
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私は今からちょうど一年前、このゆずり葉の木の上で生まれました。
私が最初に目を覚ましたのは、母鳥が私ときょうだい達を産みおとした三日後のことでした。
私はどうやらぜんぶで五つのきょうだい達の中ではもっとも早くに目を覚ましたらしく、これが初産であった母鳥は私に気付くとたいそう喜び、やわらかい羽毛に包まれた熱っぽい腹を震わせました。
私も母鳥の歓迎がたいそう嬉しく、できたばかりの目玉をぐりぐりと動かして殻の内側から母鳥に答えたものです。
私の誕生によって母鳥の熱は最高潮に達し、その腹の熱が伝わってか、きょうだい達も次々と目を覚ましだしました。
母鳥も私も、一つずつ鼓動を始めるきょうだい達を、その度に全身を震わせて歓迎しました。
しかしその日の晩になり、また次の日の朝になっても変化のない卵が二つありました。
母鳥はたいそう心配して腹を震わせ続けました。
するとさらにその次の日の暮れ近くにもなって、ようやく四つめが返事をしたのです。
四つめは私のちょうど隣に産みおとされていたのですが、薄い薄い殻ごしに、胚の振動がかすかに伝わってきたのでした。
それはほんの小さな音でしたが、しっかりと生きて私たちに存在を伝えていました。
母鳥と私たちきょうだいは、四つめの誕生に大いにわきたちました。
しかし悲しいことに五つめはついに目を覚ますことはありませんでした。
こうして私たちきょうだいは、最初のきょうだいの死というものを体験したのでした。
母鳥は四つめが生まれたあと三日ほどは、五つめが動かないことを気にして、たいそう落ち込んでいるように見えました。
無理もありません。
母鳥にとってはこれが初産だったのですから、生まれて初めてみずからの雛を死なせる体験をしたのです。
母鳥はいっときに比べると体温もいくぶんか下がっているようでした。
私たちきょうだいは四つめが体を冷やさぬよう、殻を動かしてかばってやりました。
四つめがはじめて声を出してから一週間ほどたったある日の朝、ついに母鳥がはじめて巣を離れました。
その頃には私たちの透き通っていたからだは、全体に血管がめぐり、黒い皮膚に覆われはじめていました。
また卵黄は半分ほどにしぼみ、胚部分が殻の半分を占めるまでになっていたのです。
ここまで成長していれば、夜や雨の寒い時をのぞけば、母鳥の腹に守られずとも大丈夫なのです。
むしろ一方の母鳥は五つの卵を産みおとしてから今まで何も口にせずに私たちきょうだいをあたため続けてきたわけですから、食料を求めて母鳥が巣を空けるのも当然のことなのでした。
母鳥が飛び立つと私たちははじめて母鳥の腹の外の世界に触れることとなりました。
風は心地よく殻を撫で、光は若葉の色をした不思議なもようを殻に映し、時折、白い鋭いのがちらりとちらりと美しく差しました。
そして外はあまりにも多くの音に満ちあふれていました。
私たちきょうだいは、できたばかりの瞼をしきりにぱちぱちさせ、この美しい世界に一日じゅう酔いしれていました。
それから毎日のように母鳥は日が昇る頃に巣を出、日が暮れる頃に巣に戻ってくるようになりました。
四つめは母鳥が巣を出る頃合いになると必ず少しぐずりましたが、それでも私たちきょうだいは母鳥の留守中の楽しみを見つけてしまっていましたから、さほど淋しくはありませんでした。
<2へつづく>
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